転職会議での会社への誹謗中傷・風評被害にあたる書き込みの削除方法

1.転職会議とは

転職希望者が一度は目を通すとも言われている「転職会議」。転職会議は、特定の企業の給与や休日等の労働条件、福利厚生、評価制度、社風などに関する口コミサイトです。実際にその企業で勤務している人や、過去に勤務していた人による投稿なされることから、その企業への就職や転職を考えている人にとっては、企業内部の生の情報を得られるサイトとして重宝されています。転職会議は、株式会社リブセンスが2010年から運営しており、同社の発表によれば、2014年に登録者が100万人を超えたとのことです。

2.転職会議における評判・口コミの影響

上記のとおり、転職会議は、現従業員や元従業員による書き込みから成り立っていることから、企業が自ら運営するHPや、企業が作成する求人情報等に記載された「建前」とは異なり、従業員サイドからみた「本音」の部分の情報であると捉えられがちです。そのため、閲覧者側も、書き込まれている情報が真実であると受けとめられやすいことから、良くも悪くも企業の採用活動に与える影響は大きいといえます。

例えば、上司に不満がある従業員や、問題を起こして辞めた従業員等が、逆恨みで企業や上司の悪口等を投稿したり、面接で落とされた人や、取引先企業の社員などが当該企業を誹謗中傷する書き込みをしたりするといった事例も多く見られるようです。

職務経歴の情報から、投稿者が誰かをある程度推測できるケースもありますが、投稿者は匿名ということもあり、過剰に批判的な評判を書き込むユーザーも多く、企業のブランドイメージを不当に損なうようなケースも多々あるようです。

転職会議における投稿は、無料会員登録している人であれば誰でも見ることができます。ですから前記のような悪意のある書き込みによって、「ブラック企業」であるとか、セクハラ・パワハラがある会社であるなどといった口コミを真に受けて閲覧者に悪い評判やイメージをもたれてしまうと、企業が求人広告を出しても応募者が集まらない等、企業の採用活動に悪影響を与えてしまいます。実際、転職会議に関するご依頼は企業の新卒等の求人時期に非常に多いように感じます。また、採用活動だけでなく、企業自体のイメージの悪化にもつながり、顧客が離れてしまうというおそれもあります。

ですから、転職会議において、自社のことがどのように投稿されているかをチェックし、事実無根の書き込みや自社を誹謗中傷するような書き込みがあれば削除するという対応をとることが、企業のリスク管理という観点からも求められるともいえます。

3.投稿者本人による削除依頼

書き込みの内容によっては、元従業員など誰が書き込んだかわかるような場合もあると思います。しかし、転職会議では投稿者本人による投稿の削除は認められていません。ですから、投稿者が判明してその者に削除するように要求できたとしても、運用上削除できないということになります。

※なお、投稿内容の修正であれば、投稿者本人でも可能ですので、修正してもらえばよい程度の書き込みであれば、投稿者本人に修正を求めるという手段も考えられます。

4.企業からの削除依頼

4-1.直接削除依頼を行う

4-1-1.直接削除依頼の方法・相手方

投稿者本人が削除できない以上、投稿によって被害に遭っている企業から、転職会議のサイトを運営する株式会社リブセンスに対して直接削除依頼を行うことが考えられます。

転職会議のサイトの中には、特に定められた削除依頼のフォーム等はありません。

ですから、任意の形式で株式会社リブセンスに対して削除依頼を行うことになります。

4-1-2.直接削除依頼の理由

株式会社リブセンスの発表によると、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らかであると判断できた場合や、転職会議の利用規約等に抵触する投稿を除き、原則として全て掲載させていただいております。」とされていることから、削除を依頼する際には、削除して欲しい対象の投稿が、「プライバシー侵害や名誉毀損に該当することが明らか」であることを法的な根拠をもって説明する必要があります。

インターネット上の投稿や書き込みを行う投稿者には、表現の自由が認められており、特に、転職会議のような企業の評価に対する書き込みは、公益性のある書き込みであるとして表現の自由の保障が及ぶ範囲内であると判断されることが少なくありません。そのため、ただ、「困っている」とか、何の根拠もなしに「虚偽の内容である」と説明しても、削除依頼を受け入れてもらえない場合があります。

ですから、削除依頼を行う際は、削除して欲しい書き込みが、どういった理由でプライバシーの侵害や名誉毀損に該当するのかといった法的根拠について、適切な証拠資料を添付して説明する必要があります。そのためには、インターネットに関する法律に詳しい弁護士に依頼して、削除依頼を代理してもらうことが削除への早道といえます。

4-2.裁判所に削除の仮処分の申立を行う

転職会議を運営する株式会社リブセンスが直接削除依頼に応じない場合は、同社を相手方として、裁判所に削除を命じる仮処分を求める方法があります。

同社が「プライバシーの侵害や名誉毀損に該当することは明らか」と判断しなかった場合であっても、裁判所がプライバシー侵害や名誉毀損に該当すると認定してくれる可能性があります

ここ数年で、インターネット上の投稿に対して削除を求める仮処分の数は増加しており、裁判所によっても判断が異なるような事例も出てきています。ですから、裁判所に仮処分を認めてもらうには、法律的な知識はもちろん、直近の裁判例や各地の裁判所ごとの判断傾向等にも詳しいことが求められます。

4-3.送信防止措置請求を行う

直接削除依頼や裁判所への仮処分の申立とは別に、いわゆる送信防止措置請求を行うことも選択肢の一つです。

送信防止措置請求を行うと、転職会議の運営会社である株式会社リブセンスが請求に応じて自主的に投稿を削除するか、もしくは、自主的に削除しない場合は、投稿者へ削除依頼があったことを通知します。後者の場合、7日以内に投稿者から反論がないか、反論があっても理由がないと同社が判断した場合、投稿が削除されることになります。

送信防止措置請求は、削除を依頼する側の企業の担当者が行うこともできますが、通常の削除依頼や裁判所への仮処分申立と同様、プライバシー権や名誉権の侵害に当たるという法的理由をしっかりと記載する必要があります。ですから、この請求を行う場合も、弁護士が書面を作成して法的な説明をすることで、削除される可能性は高くなるといえるでしょう。

5.転職会議で自社に不利益な書き込みを発見したときは

企業にマイナスイメージを与えるような書き込みは、放置しておくと他の媒体に転記されたり、SNSで拡散してしまったりして被害が拡大するおそれがあります。ですから、転職会議において、自社にとって不利益なことが記載されているときは、速やかにこれを削除する手段を講じる必要があります。

また、企業が被ったダメージによっては、投稿者本人に損害賠償請求を行うことも検討しなければなりません。インターネット上の投稿は投稿者名が匿名であることがほとんどですから、いわゆるプロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求等を行って投稿者を特定することが求められます。

このように、問題のある書き込みを発見した場合は、書き込みの削除と被害の拡大防止、投稿者に対する損害賠償請求を並行して検討しなければなりませんが、どの手続をどのタイミングで進めていくべきかが非常に重要です。

このような観点から、早い段階で弁護士に相談しておいたほうが、様々な面で有利に働くことが多いです。

確かに、弁護士に依頼すると、会社の担当者が対応するのに比べると一定の費用がかかります。しかし、インターネット上での悪い評判や口コミは瞬く間に拡散することがあり、予想もしない損害を企業に与える可能性がありますから、多少費用が発生しても早急に対応することが大切といえます。

ただ、このようなインターネット上の法律問題については、弁護士によって得手不得手の差がある分野といえますから、インターネット上の法律問題に詳しい弁護士に相談するのが良いでしょう。

爆サイ.comにおける誹謗中傷投稿・個人情報の削除方法

1.爆サイ.comとは

爆サイ.com(通称「バクサイ」)とは、2ちゃんねる(2ch.net)等と同様のインターネット上の電子掲示板で、様々な話題について自由に投稿できるサイトです。

爆サイ.comの特徴は、北海道から沖縄まで、日本全国の地域ごとのローカルな話題をテーマとしたスレッド(あるテーマに関する投稿の集まりをスレッド(略して「スレ」)といいます)がある点で、都道府県単位だけでなく、市区町村単位での雑談スレッドも存在します。

スマートフォンにも対応しており、20代、30代の若い方の利用が多いというのも特徴です。

爆サイ.comの利用者は大変多く、国内の類似サービスの中では2ちゃんねる(2ch.net)に次ぐ利用者がいるとも言われています。

2.爆サイ.comにおける誹謗中傷問題

利用者が多い分、爆サイ.comにおける投稿によって、一般の法人・個人が、名誉毀損等による誹謗中傷や風評被害、個人のプライバシー侵害・個人情報の漏えい等の被害を受けることが多くなっています。

前述のように、爆サイ.comは、ローカルな地域ネタを話題にするスレッドが多いのが特徴です。したがって、それを閲覧している人の住所や勤務先等のコミュニティも特定の地域の人に偏っている場合が多いので、投稿対象の人物が匿名になっていても名前以外の情報(たとえば対象人物のコミュニティ内でのあだ名や、身体的特徴等)の投稿によって、狭いコミュニティの中の閲覧者は、容易に投稿対象の個人や店舗等を特定できてしまいます。このようなサイトの特徴からか、爆サイ.comでは、比較的狭いコミュニティ内での個人や法人・店舗の名誉毀損記事やプライバシー侵害記事を投稿する事例による被害が多く見られるようです。

また、キャバクラや風俗等のいわゆる水商売に関するスレッドも多いことから、特定の店で働いている方の実名や住所等の個人情報を晒したり、誹謗中傷したりする事例が多いのも特徴です。酷いものでは、特定の個人だけを対象としたスレッドが立てられることもあるようです。

3.爆サイ.comにおける投稿の削除方法

3-1.投稿者自身による削除

爆サイ.comの運用上、2ちゃんねる(2ch.net)等と異なり、投稿者自身が自分で投稿した書き込みを削除することができます。具体的には、投稿する際に、「削除パス」と呼ばれる4桁の半角英数字を設定しておくことによって、投稿した後でも、削除パスを入力して投稿を削除することが可能になっています。

3-2.他人による投稿を削除したい場合

削除パスによる削除方法は、削除パスを設定した投稿者本人しか使えませんので、投稿者以外はこの方法による削除ができません。ですから、他人の投稿によって個人のプライバシー情報を投稿されたり、誹謗中傷記事を投稿されたりした場合には、被害を受けた方がサイトに対して削除依頼をする必要があります。

ネット上に個人のプライバシー情報を投稿されたり、誹謗中傷記事を投稿されたりすると、それを見た第三者がさらに他の掲示板に書き込んだり、SNSに投稿したりすることによって記事が拡散し、被害が拡大してしまうおそれがあります。ですから、拡散される前に早くその投稿を削除させることが重要です。

まず考えられる方法は、爆サイ.comの運営会社に対して直接削除依頼をすることです。

削除依頼は、爆サイ.comの各スレッドの下部にある削除依頼フォームを利用して行います。

削除依頼は、投稿ごとに行う必要があるため、複数の投稿の削除依頼を行う場合は、削除依頼も、一括ではなく投稿ごとに複数回行う必要があります。

なお、削除依頼の際は、削除依頼者本人の氏名を明らかにする必要はないため、2ch.scのように、削除依頼をしたこと及び削除依頼者の氏名が公開されてしまうといった心配はありません。しかし、爆サイ.comには狭いコミュニティ内での話題が多いことも関連してか、閲覧者は、削除依頼内容だけから、削除依頼者が誰であるかを容易に推測しうるケースもありますので、その点は注意が必要です。

4. 爆サイ.comにおける投稿の削除・発信者情報開示の手続を弁護士に依頼するメリット

4-1.権利侵害事実の特定

上記のとおり、爆サイ.comにおいて運営会社に他人の投稿を削除してもらうには、まずサイトを通じて直接削除依頼を出す必要があります。

ただ、投稿が削除されるかどうかは、サイトの利用規約に反しているかどうかという点から判断されます。

例えば、対象者の法人名や氏名を明らかにしたうえでの名誉毀損記事や、本名や住所等、個人を特定することのできるプライバシー侵害情報が投稿された場合のように、明らかに利用規約に違反するものは削除対象になるでしょう。

しかし、悪口や批判等が書き込まれたときに、それが特定の法人・個人の名誉毀損やプライバシー侵害にあたるかどうかは、判断が難しいこともあって、サイトを通じた削除依頼では運営会社が削除しない場合も珍しくありません。

投稿者には表現の自由があるため、単なる意見や批評の範囲であれば名誉毀損やプライバシー侵害にはならないと判断される場合があります。

そこで、削除依頼を出す際に、削除依頼の理由(権利侵害の内容)について法的に論理立てた説明を行うことが重要ですが、法律に不慣れだとこの説明がうまくいかないこともあります。

この点、弁護士なら、どのような表現が名誉権やプライバシー権の侵害に該当するかという判断を的確に行い、削除を依頼する理由についても、法的に運営会社を説得できる内容で記載してもらうことが期待できます。

4-2.削除依頼

爆サイ.comの規定では、「同内容の連続した削除依頼(72時間以内に同内容の複数回の依頼)及び威圧的削除依頼は、弊社の業務妨害と判断」すると記載されております。慌てて何度も削除依頼をして、運営会社側から業務妨害行為と言われないよう、被害に遭った場合も、感情的になることなく、適切な理由を付して削除依頼をすることが求められます。ですから、インターネットの法律問題に詳しい弁護士に依頼する方が良いといえるでしょう。

当事務所は、爆サイ.com対する削除請求のノウハウを熟知しており、3-2に記載した削除依頼フォームからの削除依頼以外の方法もご提案できます。また、削除請求が可能な記事は原則としてレス単位とされていますが、当事務所の経験上、スレッド全体の内容によってはスレッドについての削除請求が可能な場合があります。

4-3.他の法的手段の検討

また、直接の削除依頼では削除されない場合に、他の法的手段も検討する必要がありますが、この場合も法律や制度に詳しい方が、手続がスムーズになるため、弁護士に依頼するメリットがあるといえます。

直接の削除依頼で削除されない場合は、他の法的手段として、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置請求を行う方法や、裁判所に対して削除の仮処分を申し立てる方法等が考えられます。爆サイ.comについては、正確な運営会社の情報がインターネットからは明らかでなく、送信防止措置請求や裁判上の削除請求の相手方所在地等の詳細が不明で削除請求ができないというご相談もございますが、当事務所は、これまで積み重ねてきた調査により運営会社に関する情報を把握しており、送信防止措置請求や裁判上の請求にもご対応可能です。

4-4.投稿者の特定

被害の程度によっては、単に運営会社に投稿の削除を請求するだけでなく、投稿者に対して慰謝料等の損害賠償請求を行うことも考えられます。この場合、投稿者が誰かを特定する必要があります。

そのためには、まず爆サイ.comの運営会社に対してプロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示請求を行い、該当する投稿のIPアドレスやタイムスタンプ等の開示を受け、その上で今度は経由プロバイダ(経由プロバイダはIPアドレスから判明します)に対し、IPアドレスの使用者の情報(発信者情報)について開示請求をするという2段階の手続を踏む必要があります(場合によっては、携帯端末の個体識別番号の開示を受けて個人を特定することができる場合もあります)。

多くのサイトが発信者情報開示には慎重な姿勢をとり、裁判所の仮処分等がなければなかなか開示に応じないのに対し、爆サイ.comの運営会社は、裁判所の仮処分がなくても開示に応じる場合がある等、比較的柔軟な姿勢を見せています。

しかしながら、この場合も、該当する投稿が名誉権侵害やプライバシー権侵害に当たることを、しっかりと説得的に説明する必要があるという点は、削除依頼の場合と同じです。

ですから、投稿者を特定し、さらに損害賠償請求を行うという場合も、弁護士に依頼した方がスムーズに進むと言えます。

4-5.投稿者の特定における注意点

なお、爆サイ.comにおいては、運営会社が削除した投稿については、当該投稿に関するログも消去するという運用がなされています。ですから、後に述べるような、投稿者を特定して投稿者に対して損害賠償請求を行うことまでを検討される場合は、削除依頼と同時に(もしくはその前に)、発信者を特定する手続を行う必要があります。

この点においても、ご自身で早まって削除依頼を出して発信者に関するログが消去されてしまうという結果を招くよりも、専門家である弁護士に相談して、終局的な解決方法を見据えたベストの対処法を選択することが大切です。

5.削除の依頼は代行業者ではなく弁護士に

昨今、インターネット上において誹謗中傷や名誉毀損にあたる書き込みが増えてきていることから、こういった書き込みの削除を代行する業者が出てきました。インターネットで検索してみても、複数の業者が広告等を出しているのがわかります。

ただ、削除依頼の代行を民間業者が行うのは違法です。法律事務の代行は弁護士法によって弁護士のみに認められており、弁護士以外の業者が費用をとって削除依頼の代行を行うことは法律上認められていません。そのため、このような業者は、代行の費用ではなく調査料などと称して料金をとる場合もあるようですが、削除に至らなかったものの調査はしたといって費用を支払わせるような悪質な業者もいるようなので注意が必要です。

東京地裁は2017年2月20日にも、民間業者が報酬を得てインターネット上の書き込みの削除代行(サイト上の通報フォームを使って削除依頼をする行為)を行ったことに対し、弁護士法違反(非弁行為)にあたると認める判決を言い渡しています。

また、掲示板等の運営者の中には、このような民間業者からの削除依頼には応じないという方針を定めている場合も少なくなく、実効性という観点からも問題があると言わざるを得ません。

6.まとめ

爆サイ.com上において個人情報を書き込まれたり、誹謗中傷や名誉毀損にあたる投稿がなされたりした場合、これを放置してしまうと被害が拡大してしまうおそれがあるため、速やかに削除を求めることが必要です。と同時に、投稿をした人物を特定して損害賠償請求を行うことも考えられます。

被害の拡大を防ぎつつ加害者を特定する手続を迅速かつ的確に進めるためには、インターネットに関する法律に詳しい弁護士に早めに相談することが望ましいと言えるでしょう。